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イラスト制作会社の経営ってどうなってるの?

#経営

「絵を描くのが仕事です!」と言うと、たいていの人は驚きます。
「え、そんなので生活できるの?」とか、「どうやってお金になるの?」と聞かれることもよくあります。
私たちグーチョキパースのような“イラスト制作会社”は、確かに少し変わった業種です。
今日は、そんなイラスト制作会社の“経営の中身”を、お話ししてみようと思います。

「描く」だけじゃなく、管理する仕事

イラスト制作会社ですが、「イラストを描く」だけでは経営は成り立ちません。
制作会社は、制作費をいただく事業モデルなので、案件を受けて、納品して、請求して、初めて売上が立ちます。
だからこそ、営業・見積り・進行管理・経理・広報などの、“描く以外の仕事”も、とっても大事になってきます。

一人のイラストレーターであれば、セルフマネジメント能力が結果に直結するのですが、
会社となると「チームの時間」をどう分配するかが鍵となります。
誰がどの案件を、どの期間で、いくらで受けるか。
その組み合わせ次第で、利益率が変わります。
つまり、受託型の経営というのは“スケジュールと工数とお金のパズル”なんです。

売上と利益の関係

たとえばの話ですが、1案件あたりの単価が40万円として、1ヶ月に10件受けると月商400万円。
年間で約4800万円の売上です。
そこから人件費、外注費、家賃光熱費、広告費、備品、税金などを差し引いていくと、手元に残るのは僅か。
会社の経営では、この「経常利益率」をいかに安定させるかがカギになります。

利益が少ないと、会社の体力も付かないし、次の挑戦も出来ない。
だからこそ、「描くクオリティ」と同じくらい「利益率の数字」を意識しています。

仕事の流れは“プロジェクト単位”

建築パース制作会社の多くは、1案件1プロジェクト制。
設計事務所やデベロッパーなどから依頼を受けて、ラフ→線画→着彩→納品という工程で進みます。
制作期間は平均で1〜3週間。
同時に複数案件が動くので、社内ではエクセルのガントチャートで管理しています。

ガントチャートイメージ
エクセルスプレッドシートでのガントチャートで業務管理をしている

経営の観点から見ると、プロジェクト単位での受託型ビジネスは「波がある」ことが最大のリスクとなります。
忙しい月もあれば、閑散期もある。
この波をならすために、継続取引・新規事業・ストック型ビジネスなどの“定常収益”をどう作るかがポイントになります。受託型以外のいろいろなビジネスの柱をつくることも大事になってきます。

人件費のバランスが命

仕事をとってくる人、絵を描く人、ディレクションする人。
それぞれがいて初めて、1つのプロジェクトが完了します。

ただし、クオリティを上げるために人を増やしすぎると、固定費が増え、経営が苦しくなる。
逆に減らしすぎると、仕事を受けきれない。
なので、日々の受託量に合わせたスタッフの構成や一人ひとりのスキルアップ、スピードアップもとても大事になってくるのです。

決算書から見る「会社の健康診断」

簡単にいうと、決算書は会社の成績表です。
日々の取引を記帳していくと、それが積み重なり、一年の“結果”として表れます。それが、決算書です。この中でも特に大切なのが、損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)
この2枚を見れば、自分の事業が今どんな状態なのか――良いのか、悪いのかを客観的に判断することができます。
つまり、正しい経営判断を下すための最も重要な資料なのです。

損益計算書(P/L)

損益計算書の「売上高」からは、その当該1年間の、自分の事業がどれだけの売上を上げたかが分かります。また、「販売費及び一般管理費(販管費)」では、消耗品費・広告費・自分や従業員に支払った給料など、日々の経費を確認できます。それらが売上に対して多いのか、少ないのかを把握することで、利益率や生産効率を見直すきっかけになります。

貸借対照表(B/S)

貸借対照表からは、会社のお金の持ち方、バランスが見えてきます。「現金・預金」などの資産を見ると、自由に使えるお金がいくらあるかが分かります。一方で、「借入金」などの負債を見ると、返済しなければならないお金がいくらあるかを把握することができます。この2つのバランスを見比べることで、「会社の体力」や「次の挑戦にどれだけ余力があるか」が見えてきます。

さらに、今年度の決算書をもとに次年度の経営方針を定めることができます。たとえば、前期の売上を基準に、次年度の売上目標を120%増に設定したり、それに必要な人件費や広告費を計算したり、自分の給料をどうするかを決めたりすることができます。このような、試算をしながら戦略を考えるのも、とても楽しいものです!

決算書
決算書[B/S,P/L]のイメージ

経営=“描ける環境”を整えること

経営というと「売上拡大」や「利益最大化」を連想しがちですが、実はそれは手段であって、
私の目標はもっとシンプルです。
イラストレーター達が安心して働ける環境をつくること
それがすべての起点にあります。

給与や賞与をきちんと支払い、必要な設備をそろえ、一人ひとりが思う存分、力を発揮出来る!
イラスト制作会社の経営とは“チームの絵を守るための仕組み”をつくる仕事です。
スタッフ一人ひとりがスキルを発揮し、クライアントに喜んでいただく。
売上や利益、数字はその結果としてついてくる。

描く力と経営のバランスを取ることが、グーチョキパースの目標でもあります。
そして私は、働くすべてのメンバーが、この仕事で楽しく、豊かに暮らせる会社にしたいと思っています。
「イラストを描くスキルが正当に評価される社会を証明する」ための挑戦でもあるのです。
「絵を描くこと」が、単なる好きなことではなく、堂々と“職業”として成り立つ社会をつくる――
そんな未来をつくりたいと思っています。

クリエイティブを続けるために

イラスト制作会社の経営は、決して華やかではありません。
地道な調整と管理の連続です。
でも、その先に「絵を仕事にできる人が増える未来」がある。
そのために、数字も仕組みも覚えながら、少しずつ理想に近づけていく。

手描きパースを描くという文化を、次の世代にもつなぐために、
私は今日も、絵筆とExcelを往復しています。
これからも株式会社グーチョキパースをよろしくお願いいたします!

横断的に働く

この記事の著者

山下 翔一朗

株式会社グーチョキパース代表取締役/1988年埼玉県川越市生まれ。小さいときから絵を描くことが好きで、美術高校・美術予備校・美術大学で、美術やデザインの基礎を学ぶ。多摩美術大学を中退後、日建設計イラストレーションスタジオにて10年間、手描きパース制作に従事し、数多くの大規模プロジェクトに携わる。その後独立し、株式会社グーチョキパースを設立。手描きパースや建築イラストを、設計事務所、不動産開発会社、広告企業など多様なクライアントへ作品を提供している。

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