1枚の手描きパースが完成するまで ― 建築イラストの制作フロー
はじめに:建築パースとは?
図面を読み慣れている設計士ならまだしも、まだ形のない「建築」や「まち」の姿を、図面や言葉だけで正確に共有することは、とても難しいものです。
そのため建築設計業界では、ビジュアライゼーション(視覚化)された完成予想イメージ図、いわゆる「パース」「建築パース」用いて、誰にでも分かりやすいイメージを共有し、プロジェクトの進捗確認をします。
それは単なる確認用だけにとどまらず、地権者への説明用資料や景観協議、プレゼン資料、コンペ・プロポーザルでの「決めの1枚」、Webサイトやパンフレット、ポスターなどなど、、、使用用途も多岐に渡ります。
私たちグーチョキパースでは、そうした建築パースを「手描き」で制作しています。
ここでは、その1枚の手描きパース・建築イラストがどのような工程を経て完成するのか、実際の制作フローに沿ってご紹介いたします!
①クライアント様との打ち合わせ・見積り合意
手描きパースの制作は、まずクライアントとなる設計者、デザイナー、プランナーとの打ち合わせから始まります。
プロジェクトの概要やコンセプト、見せたい建築や空間、まちの特徴、アングルイメージ、希望のイラストタッチを丁寧にヒアリングします。
「どの角度が一番魅力的か?」「人や植栽をどのくらい入れるか?」「真面目系に描くか、ポップに振るか?」——これらを確認しながら、最適なアングルを提案します。
打ち合わせ後、ヒアリング内容をもとにお見積りとスケジュールをご提示。
プロジェクトの進行や提出時期に合わせ、最適な納期を設定します。
ご予算とスケジュールに合意をいただいた時点で、正式に制作スタートします!

②ラフスケッチ~初期確認
次のステップは、ラフスケッチ(構図ラフ)です。
設計図や3Dモデル、指示書などをもとに、透視図法を用いてアングルの探り出しをします。(※想定アングルが決定している場合にはこの工程は省略されます)
この段階では大きな構図感を伝えるため、ざっくりとした線で、全体のバランス、伝えたいテーマが分かることを意識します。
「緻密な描写」よりも、「構図、スケール感、伝えたいことが希望に沿ったイメージに合っているか」を確認する段階です。
手戻り防止の為、ここでしっかりアングルの合意を取ることが、後の工程をスムーズに進めるポイントとなります。 ラフスケッチはある程度の段階で送付し、赤字指示をいただきながらチェックバックを反映していきます。
ここでOKが出れば、いよいよ本描きの線画制作へと進みます。

③線画制作~ディテールの精度を詰める
ラフが確定したら、線画の制作に移ります。
この段階では、決定した構図アングルを元に、建物の形状・ディテール・植栽・人・車などを明確に描き込み、パースとしての精度を整えていきます。
建築図面との整合性を取りながら、線の太さ・密度・遠近感を調整。
「どの部分を主役に見せるか」によって、描きこみ量などを変えていきます。
手描きならではの“情報の取捨選択”により、パース全体の印象を調整することが出来るのです。
線画段階でも一度ご確認をいただきます。
このときに「ファサードイメージ」「人物の密度間」「植栽のボリューム」「サインや什器の位置」などを確定させることで、イメージのブレを防ぎます。
また、この線画だけでもアッと驚いて頂けるようなクオリティをもって、お送りすることも意識しております。

④着色工程~質感や空間を表現する
線画が決定したら、着色作業に入ります。
水彩絵の具での滲み、Photoshopでのベタ塗表現、またその両方を用いて、手描きならではぬくもりや温かさ、ゆるさを活かしながら描きこみます。
立体感を意識した明暗塗り、床面や樹木にグラデーションを加えたり、影を描きこんだり、空間・立体感を表現しながら良い絵になるよう、完成度を高めていきます。
着色段階でもクライアント確認を行い、明るさ・色味・雰囲気を最終調整します。
「もう少しメリハリをつける」「全体を明るめに」などの感覚的な要望にも、できるだけ丁寧に対応します。
⑤最終確認・納品
最終チェックを経て、完成パースを納品します。
納品形式はJPGが基本となります。
用途に合わせて解像度(A0~A3サイズ)も調整いたします。

納品後、ポスターやパンフレットなどに活用されるケースも多く、「手描きならではの描きこみと楽しい絵にワクワクした!」との嬉しいお声をいただきます。
建築やまちの魅力を“見える形”にすること。
そして、関わるすべての人にワクワクを届けること。
それが私たちグーチョキパースの使命です。
おわりに:手描きパースの価値とは
デジタル技術が進化する中でも、手描きパースには“人の温度”を伝える力があります。
設計者の意図を読み取り、空間の賑わいや空気感を表現出来ることが手描きの強みです!
イラスト1枚にも、描く手とクライアントとの対話を経ており、その結果、良い絵が出来たり、
そして、その絵がプロジェクトを前に進めていると思うと、とてもやりがいのある仕事だと感じます。
これからも、1枚1枚を丁寧に想いを込めて描き続けていきます!
手描きパース、建築イラストがご必要な際には、ぜひグーチョキパースまでご連絡くださいませ!


