建築パースの視点・アングル完全ガイド|アイレベル・俯瞰・鳥瞰・アクソメ・アイソメの選び方
建築パースを受注・発注する際や、建築関係の仕事をしていると、
「アイレベルで描いてください」「鳥瞰図でお願いします」といった用語が飛び交います。
これらの用語の違い、正確に理解しておりますでしょうか、、、!?
アングルの選び方ひとつで、建築物の見え方は大きく変わってきます。
適切な視点を選ぶことは、建築パースの完成度を左右するうえでとても重要なポイントで、
ひいてはプロジェクト、案件提案で受注率へも影響してきます。
この記事では、建築パースでよく使われる「視点」や「アングル」に関する用語を、解説していきます!
パース表現の基本|視点の高さと角度
建築パースの視点は、大きく分けて「視点の高さ」と「見る角度」の2つの要素で決まります。
視点の高さは、地面からどのくらいの高さから建物を見るかということ。人の目線の高さ(1.5m前後)から見るのか、それとも空中から見下ろすのか。この高さの違いだけで、建物やプロジェクトの印象はガラッと変わるのです。
見る角度は、建物をどの方向から、どの角度で捉えるか。正面から見るのか、斜めから見るのか、真上から見るのか。これによって、建物のどの部分を強調するかが決まってきます。
これらの組み合わせによって、どんな絵にしたいのかが決まっていくのです。
アイレベルパース|人の目線で見る
アイレベルとは
アイレベルパースは、人間の目の高さ(通常1.5m程度)から建物を見たパース、透視図法です。英語では「Eye Level」、つまり「目の高さ」という意味ですね。
建築ビジュアライゼーションの世界では、よく「目線1500の高さです。」なんて言い方をよくします。

特徴とメリット
最大の特徴は「リアルな体験」を表現できることです。
実際に現地に立った時に見える景色に最も近いため、建物のスケール感や空間の雰囲気を直感的に伝えられます。住宅や商業施設など、人が実際に利用する建築物の提案には欠かせない視点です。
また、建物の外観だけでなく、周辺環境との関係性も自然に表現できます。街並みとの調和や、アプローチの雰囲気など、実際の体験に近い情報を盛り込めます!

使用場面
- 住宅の外観・内観パース
- 商業施設のエントランス周り
- 街並み景観の検討
- 建築プレゼンテーションでの「現地体験」を伝えたい場面
制作時の注意点
アイレベルパースでは、建物の上部が見えにくくなることがあります。特に高層建築の場合、屋上部分のデザインを見せたい時には不向きです。
また、敷地全体の配置や建物のボリューム感を一目で把握するのは難しい視点でもあります。
俯瞰・鳥瞰パース|上から見下ろす
俯瞰と鳥瞰の違い
まず、よく混同される「俯瞰(ふかん)」と「鳥瞰(ちょうかん)」の違いから。
俯瞰は、やや高い位置から見下ろすパース全般を指します。視点の高さは3階建て程度から、数十メートルの高さまでさまざま。
鳥瞰は、俯瞰の中でも特に高い位置(まるで鳥が空から見るような視点)から見下ろすパースのこと。一般的には、建物全体がミニチュアのように見える高さです。
つまり、鳥瞰は俯瞰の一種で、より高度が高い視点ということになります。
「鳥瞰図(ちょうかんず)」とも呼ぶこともあります。
また、最近では人の添景やアクティビティをデフォルメ表現した「賑わい鳥瞰イラスト」といったパース図の描き方、表現も人気です。
俯瞰パースの特徴
建物全体と敷地の関係性を一目で把握できるのが最大のメリットです。
配置計画や外構デザイン、周辺環境との関係など、平面図では伝わりにくい立体的な情報を直感的に理解できます。
屋上のデザインや、建物の全体的なボリューム構成も明確に見せられるので、設計コンセプトを説明する際にも効果的です。

鳥瞰パースの特徴
鳥瞰パースは、さらに広い範囲を俯瞰できます。
都市計画や大規模再開発、複数棟の建物群を見せたい場合に威力を発揮します。街区全体のイメージや、ランドスケープとの調和を表現するのに最適です。

にぎわい鳥瞰イラストの特徴
にぎわい鳥瞰イラストでは人やアクティビティを大きくデフォルメ表現し、夢のあるイメージを伝えます。

使用場面
俯瞰パース
- マンションやオフィスビルの全体像
- 外構計画を含めた提案
- 屋上庭園やルーフバルコニーの表現
- 建物のボリューム構成の説明
鳥瞰パース
- 都市計画や再開発プロジェクト
- 大規模なマンション開発
- ランドスケープを含めた総合的な提案
- 複合施設の全体像
賑わい鳥瞰イラスト
- 都市計画やマスタープラン、まちづくりを楽しく伝える。
制作時の注意点
高い視点からのパースは、建物の細部が小さくなってしまいます。ファサードのデザインディテール、意匠を見せたい場合には向いていません。
また、極端に高い鳥瞰パースは、現実的には体験できない視点なので、リアリティに欠ける印象を与えることもあります。
アクソノメトリック(アクソメ)、アイソメトリック(アイソメ)|平行投影
アクソノメトリック、アイソメトリックとは
アクソノメトリック(Axonometric)と
アイソメトリック(Isometric)は、ちょっと特殊な表現方法です。
一般的なパース(透視図法)では、遠くのものは段々と小さく見えますよね。
いわゆる、「パースがかかっている状態」です。
でもアクソノメトリック、アイソメトリックでは、距離に関係なく同じ大きさで表現します。
これを「平行投影」と呼びます。
建築では「アクソメ」、「アイソメ」と略されることが多いです。
透視図法との違い
透視図法(一般的なパース)
- 人間の目で見たような遠近感がある
- 遠くのものは小さく、近くのものは大きく見える
- リアルな印象を与える
平行投影(アクソメトリック)
- 遠近感がない(遠くても近くても同じ大きさ)
- 図面的な正確性を保ちながら立体表現できる
- やや図式的・概念的な印象
アイソメトリック(等角投影)
水平線に対して建物の幅奥行きがそれぞれ30度で固定されて描かれた投影方法。最も一般的なアクソメです。絵の狙いで角度を変えることもあります。

実務レベルでは、「アクソメ」といえば「アイソメトリック」を指すことが多いです。
特徴とメリット
アクソノメトリックの最大の利点は、図面的な正確性と立体的な視覚化を両立できること。
寸法関係が正確に保たれているので、空間の広さや部材の大きさが直感的に理解できます。また、遠近感がないため、画面の隅々まで均等に情報を伝えられるんです。
インテリアデザインでは、家具の配置や動線を説明する際によく使われます。複雑な構造を説明する場合にも、透視図法より分かりやすいことがあります。
※学術的な意味合いで言うと、アクソメ、アイソメの定義はそれぞれ違うのですが、建築ビジュアライゼーションにおいて、今回は同じような意味で扱わせていただきます。
使用場面
- 内部空間の構成説明
- 家具配置や動線の検討
- 構造やディテールの説明
- コンセプト図やダイアグラム
- 建築雑誌やウェブでのグラフィカルな表現


制作時の注意点
アクソノメトリックは、リアルな「体験」を伝えるには不向きです。あくまで概念的・説明的な表現方法だと考えてください。
また、一般の人にとっては少し見慣れない表現なので、プレゼンテーションの相手によっては透視図法の方が適している場合もあります。
用途別:どの視点を選ぶべきか
実際のプロジェクトでは、何を伝えたいかによって視点や建築パースの種類を使い分けることが重要です。
ケース1:住宅の提案
メインパース:アイレベル(外観) 施主に「この家に住む」体験を想像してもらうため、外観をアイレベルで表現。

サブパース:内観 or アクソメ リビングなどの主要空間はアイレベルでリアルに。間取り全体の把握にはアクソメも効果的。
ケース2:マンション開発
メインパース:俯瞰(全景) 建物全体のボリュームと周辺環境との関係を俯瞰で表現。

サブパース:アイレベル(エントランス周り) 実際の入居者目線での体験を伝えるため、エントランスアプローチはアイレベルで。
ケース3:都市計画プロジェクト
メインパース:鳥瞰(全体俯瞰) 街区全体の計画を一目で理解できる鳥瞰パース。

サブパース:アイレベル(街路レベル) 実際の歩行者の視点からの街並み体験。
ケース4:インテリアデザイン
空間体験:アイレベル 実際の利用者目線での空間の雰囲気。

配置説明:アクソメ 家具配置や動線を分かりやすく伝えるアクソメ図。
ケース5:夢のあるマスタープラン
賑わい鳥瞰イラスト:デフォルメを効かせつつ楽しいまちになるイメージを表現

また、アングルとともに、「手描きパース」がいいのか、「3DCGパース」がいいのか、も重要な選択項目です。そちらについてはこちらの記事で紹介しておりますので、あわせてご覧くださいませ!↓
視点別比較表
| 視点 | 高さ | リアリティ | 全体把握 | 適用例 | 制作難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| アイレベル | 1.5m | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 住宅、商業施設 | 中 |
| 俯瞰 | 3〜30m | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | マンション、外構 | 中〜高 |
| 鳥瞰 | 30m以上 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | 都市計画、大規模開発 | 高 |
| アクソメ | – | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | インテリア、構造説明 | 中 |
よくある質問(FAQ)
Q1. アイレベルと俯瞰、どちらを選ぶべきですか?
A. 「体験を伝えたい」ならアイレベル、「全体像を把握してもらいたい」なら俯瞰を選びます。プロジェクトの目的によって使い分けることが重要です。
Q2. 鳥瞰パースの費用は高くなりますか?
A. 一般的に、鳥瞰パースは描画範囲が広く、周辺環境の作り込みも必要なため、アイレベルパースより制作時間がかかり、費用も高くなる傾向があります。
価格についてはこちらの記事でご紹介しておりますので、あわせてご覧くださいませ。
→ 手描きパースの料金相場は?1枚の価格・内訳・依頼時の注意点を解説
Q3. アクソメトリックはどんな時に使えば良いですか?
A. 間取りや動線、構造を伝えたい時に最適です。また、インテリアデザインやコンセプト説明に特に効果的です。
Q4. パース制作を発注する時に必要な情報は?
A. ■モデリングデータ、モデル画像(可能であれば)■CAD図面(平面図、立面図)、仕上げ表、■周辺環境の情報(写真やGoogle Streetviewなど)、■「何を伝えたいか」という指示書があると受注者はやりやすいでしょう。
まとめ
建築パースの視点選びは、「何を伝えたいか」によって決まります。
アイレベルは実際の体験を伝えたい時。リアリティと共感を生み出します。
俯瞰・鳥瞰は全体像や配置を把握してもらいたい時。建物と環境の関係性が明確になります。
アクソノメトリックは図面的な正確性を保ちながら立体的に説明したい時。
概念やシステムを伝えるのに適しています。
これらを効果的に組み合わせることで、建築の魅力を多角的に伝えることができるんです!
パースを発注する際は、ぜひ「どの視点で、何を伝えたいのか」を明確にしてみてください。それだけで、パースの説得力は格段に上がります。
建築パースは、ただの「絵」ではありません。建築やまちの価値を伝えるための、戦略的なコミュニケーションツールです!
株式会社グーチョキパースでは、プロジェクトの目的に合わせた最適な視点での建築パース制作を承っています。「どの視点が適しているか分からない」という場合も、お気軽にご相談ください!

